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2022.4.26[TUE]

【マッチレポート】NTT JAPAN RUGBY LEAGUE ONE 2022 第14節

【マッチレポート】NTT JAPAN RUGBY LEAGUE ONE 2022 第14節

ROKI 『纏(MATOI)』 presents マッチデー

4月23日(日)、リーグワン第14節。静岡ブルーレヴズは、エコパスタジアムにトヨタヴェルブリッツ(以下、トヨタV)を迎えた。

トヨタVとは、本来はリーグワン開幕節に豊田スタジアムで対戦するはずだったが、新型コロナウィルス感染症の影響で試合は残念ながら中止された。ともに東海地区に本拠地を置くライバルチーム。トヨタVはいつも、フィジカルバトルで圧倒しようと立ち向かってくるチーム。何よりもタフさが求められる現在のブルーレヴズにとっては逃げることのできない、絶対に乗り越えなければいけない相手だ。

 

この試合にブルーレヴズは、前節の東京サントリーサンゴリアス(以下、東京SG)戦から先発3人を入れ替えて臨んだ。前節でデビューを飾ったFL ジョーンズ リチャード 剛 選手に代えて舟橋 諒将 選手、CTB 鹿尾 貫太 選手に代えて小林 広人 選手が、ともに2試合ぶりの先発復帰。そして、WTB 14にはキーガン・ファリア選手に代えて矢富 洋則 選手が入った。前節から中5日のインターバルで迎えるショートウィークの戦い。相手はフィジカルの強さとサイズの大きさが看板のトヨタV。そこにハードタックルで立ち向かおう――そんな、堀川隆延監督のかけ声が聞こえてきそうなメンバリングだ。

 

前節、4位の横浜キヤノンイーグルスがNTTコミュニケーションズシャイニングアークス東京ベイ浦安を破った時点で、ブルーレヴズがプレーオフに進出できる可能性は消えた。その2日後に秩父宮ラグビー場で東京SGと対戦した後、キャプテンの大戸 裕矢 選手は「僕たちは1試合1試合戦って、ひとつでも順位をあげていくだけ。プレーオフがなくなっても、モチベーションには何の影響もありません」と言い切った。プレーオフに勝ち進み、リーグワン最初のタイトルを掴み取るという目標が消えても、ブルーレヴズが目指すミッションは変わらない。「革新と情熱で、心躍る最高の感動をつくりだす」そして「静岡から世界を魅了する、日本一のプロフェッショナルラグビークラブをつくる」その戦いの重みに、何の違いもない。

 

試合会場はエコパスタジアム。今季は2試合を行う予定だったが、第10節の神戸戦が中止になってしまい、これが今季最初で最後のエコパスタジアムでの試合だ。4月23日(日)、陽が傾き始めた17時、試合はトヨタVのキックオフで始まった。

試合開始から、ブルーレヴズはアグレッシヴに攻め、ゲームの主導権を握った。3分、ブルーレヴズ陣10m線手前で組まれた最初のスクラムに組み勝ち、コラプシングのPKを獲得。相手陣に入ったラインアウトから攻撃を継続し、SH 矢富 勇毅 選手が短いボックスキックを蹴ると、弟の矢富 洋則 選手が相手WTB に競り勝ってハイボールを掴む。そこからヴェルブリッツが攻め返しても、FL 庄司 拓馬 選手、CTB 小林 広人 選手らのタックルで相手に最終ライン突破は許さない。そして10分、CTB 小林選手のタックルが相手落球を誘うと、直後のスクラムで再びコラプシングを獲得。PR の河田 和大 選手、伊藤 平一郎 選手が雄叫びをあげる。タックルそしてスクラム。ブルーレヴズの真骨頂といえる2枚看板で、青ジャージは自陣ゴール前のピンチを脱出した。

 

ともに得点をあげられないまま、ジャブの打ちあいで進んだ試合が動いたのは21分だ。ブルーレヴズはハーフウェー付近で得たPKから右ゴール前のラインアウトに持ち込む。LO 大戸 裕矢 選手がキャッチしたボールは相手選手に弾かれたが、地面に落ちそうになったボールをスロワーのHO 日野 剛志 選手がギリギリで拾い上げるファインプレー。そこからPR 伊藤 選手、NO8 クワッガ・スミス 選手がぐさり、ぐさりと楔を打ち込むと、3次攻撃で外に開いたSO サム・グリーン 選手からリターンパスを受けたのが背番号12、CTB ヴィリアミ・タヒトゥア 選手だ。静岡の住人になって6年目のパワフルなミッドフィルダーは、相手タックルを受けて倒れてもすぐに起き上がり、体をスピンさせてタックルをかわす魔法のボディバランスでなおも前進。4人のタックルを突き抜けてインゴール右隅にボールをたたきつける!5-0。ブルーレヴズが先制した。

そこから流れはブルーレヴズに傾いた。トヨタVは27分にPGを返し、次のキックオフリターンで再びブルーレヴズ陣深くまで攻め込むが、ゴール前10mでWTB マロ・ツイタマ 選手が猛タックルを浴びせてノックオン。そのスクラムからブルーレヴズはSO グリーン 選手が豪快な走りをみせてハーフウェーまでゲイン。いったん相手にボールを奪われたが、今度はLO 大戸 選手が相手キックに体を張ってチャージ。自陣ゴール前に戻されても全員が体を張って反則を誘う。そして34分、ハーフウェー付近のスクラムからファイズを重ね、SO グリーン 選手からWTB ツイタマ 選手にロングパスが送られた場面で、相手CTB がパスをカット。デリバレート(意図的な)ノックオンでイエローカードが出る。数的優位を得たブルーレヴズはPK からゴール前ラインアウトに持ち込み、WTB ツイタマ 選手、LO 大戸 選手が連続縦突進すると、SH 矢富選手は一転、左に立つCTB タヒトゥア 選手に高速パス。すかさずトヨタVの選手のタックルが飛んでくるがパスを捕球したCTB タヒトゥア 選手は、相手のタックルを浴びるよりも一瞬早く、魔法のようなクイックパスを左のWTB ツイタマ 選手に送った。CTB タヒトゥア 選手が相手タックルを浴びた頃、ピッチの左コーナーでは、WTB ツイタマ 選手が腕をいっぱいに伸ばしてトライを決めた。

10-3とリードを広げたブルーレヴズは、ハーフタイムを挟んだ後半も攻勢を続けた。セットプレーで優位に立ち、人数でも優位に立っている。だがそんな余裕が、もしかしたら必死さを薄れさせてしまったのかもしれない。ブルーレヴズは追加点をあげられないまま、45分、シンビンを受けたトヨタVの選手がピッチに戻る。その事実がブルーレヴズを締めた。15人対15人に戻った最初のプレーで、左ゴール前ラインアウトからSO グリーン 選手が右コーナーへキックパス。追走したWTB 矢富 選手が相手FBと競り合い、こぼれたボールを拾って右隅に押さえる。レフリーはTMOを要求するが、リプレーを一度見ただけでトライ確認。それほど鮮やかなトライだった。しかし右隅の難しい位置から狙ったFB 奥村 翔 選手のコンバージョンは外れる。3トライをあげながらも得点は15点止まりとなった。

 

そして、ゲームは膠着した。ブルーレヴズもトヨタVも、相手陣深くまで攻め入るのだが、そのたび相手ディフェンスの粘りに手を焼きとどめを刺せない。51分、トヨタVが攻め込んだ自陣ゴール前ラインアウトのピンチにはHO 日野 選手とWTB 矢富 選手のダブルタックルで相手選手をタッチに押し出す。次のフェイズではLO 桑野 詠真 選手とFL 舟橋 選手のダブルタックルで相手FWにノックオンさせる。

 

ブルーレヴズにビッグチャンスが訪れたのは54分だ。自陣22m線のスクラムからFB 奥村 選手が突破。相手タックルに一度は倒されるが、相手のパックが外れたとみるや起き上がってさらに激走。相手ゴール前で倒される。惜しいチャンスだったが、自陣深くから一気に相手ゴール前まで攻め込む攻撃力はきっと追加点が取れると思わせた。だが事実としてスコアには至っていない。ゲームは優位に進めているのにスコアに繋がらない。58分にはゴール前左のラインアウトからモールを押すが、右にSH 矢富 選手が持ち出して孤立し、反則を取られてしまう。逆にトヨタVは60分、自陣のPKからラインアウトに持ち込み、一発でトライ&コンバージョンで15-10の5点差に迫る。さらに試合再開のキックオフでダイレクトタッチとなった。

 

ここでブルーレヴズの魂が雄叫びをあげる。ハーフウェーの相手ボール・スクラムを押し込んでコラプシングのPKを獲得。タッチキックで相手ゴール前ラインアウトに持ち込むとモールで前進し、さらにフェイズを重ねる。アドバンテージの手があがる。キックパスを捕ったWTB 矢富 選手がトライラインに迫る。再びPKを得るとモールを押し、アドバンテージを得て途中出場のSO クリントン・スワート 選手がインゴールへグラバーキック。このキックを追ったCTB 小林 選手が相手と接触。TMOが要求される。オブストラクションならペナルティートライだが……しかし映像を確認したレフリーの判定はペナルティのみ。そしてブルーレヴズはトライを求めてタッチキックを蹴った。

 

しかしトライを求めたゴール前ラインアウトで痛恨のノットストレート。次のスクラムでコラプシング。陣地を戻されたディフェンスでPR 伊藤 選手が相手ボールを奪い取るみごとなジャッカルを見せながら、次のスクラムで相手にボールを奪われる。ブルーレヴズはSH 吉沢 文洋 選手、ブルーレヴズデビューとなるHO 山下 憲太 選手らフレッシュレッグズを投入するが、呼吸がなかなか揃わない。逆にトヨタVは73分にPGを決めて15-13の3点差に肉薄。そして75分、ハーフウェーのラインアウトからのパスアウトを相手SHにインターセプトされ、トライを献上してしまう。15-18。試合が始まって75分で、初めて許したリード。残り5分で必死に逆転を狙うが80分、フルタイムのホーンが響くと、トヨタVの選手はそのままボールを蹴り出した。ノーサイドのホイッスル――。

九分九厘、勝利は手中にしていたはずだった。あと一歩でとどめのトライを取れるはずだった。簡単にトライを取れなくても焦らず、取り急がず、じっくりと攻めた。だがトライラインは遠かった。ギリギリの時間帯で、微妙な判定もあったが、敗因はそれだけではなかったのかもしれない。

 

「申し訳ない試合をしてしまいました」

試合後の会見で、堀川監督は声を絞り出した。

「我々のミッションは、見ている人に感動を与えたい。そのようなことを掲げているのに、応援に来てくれた方々に申し訳ない結果になってしまった」

 

強大な敵に挑んではじき返されるのならそれは恥ではない。だが力が劣っていたわけではない。4強を争うトヨタVに対し、ほとんどの時間、ほとんどの局面で、ブルーレヴズは優位に戦った。トライチャンスは何度も作った。わずかなボールの弾みの違いで点はもっと入っていたかもしれない。だが、がむしゃらに勝利を掴み取りにいく中で、局面局面での冷静な判断が少しだけ足りなかった。そして、そんな戦いこそ、ブルーレヴズが支えてくれるファンに見せたい試合ではなかった。

 

リーグワンは残り2節。入れ替え戦回避はまだ決まっていない。だが、今のブルーレヴズに求められているのはそこではない。次節は大阪・ヨドコウ桜スタジアムで、NTTドコモレッドハリケーンズ大阪とのビジターゲーム。困難な状況で今シーズンを戦ってきた相手チームの最後のホストゲームだ。勝利はもちろんこれまで戦ってきたライバルとして、仲間として、ブルーレヴズのファンと、RH大阪のファンに対して胸を張れる戦いを見せたい。

 

その上で初めて、ブルーレヴズは最終節、ヤマハスタジアムで行われる今季のラストホストゲーム、東芝ブレイブルーパス東京戦に臨める。

それが日本で最初にプロフェッショナルラグビークラブとしてチャレンジをしているブルーレヴズの歴史を作っていくのだから。

試合結果

試合結果ページにて以下コンテンツを掲載しておりますので、ぜひご覧ください。

 

▸ 試合結果(スコア、出場選手)

▸ フォトギャラリー

▸ 試合後の監督/選手コメント

 

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 ハイライト映像 ▶▶ こちら

次節試合情報(ビジターゲーム)

【NTT JAPAN RUGBY LEAGUE ONE 2022 第15節】

 NTTドコモレッドハリケーンズ大阪 戦

 日時:5月1日(日)14:30キックオフ

 会場:ヨドコウ桜スタジアム

リーグワン最終節 試合情報(ホストゲーム最終戦)

【NTT JAPAN RUGBY LEAGUE ONE 2022 第16節】

 東芝ブレイブルーパス東京 戦

 日時:5月8日(日)14:30キックオフ

 会場:ヤマハスタジアム

 

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