RUGBY GUIDEラグビー解説
静岡ブルーレヴズでは、ラグビーの表層のルールを説明するのではなく、現在プレーされているラグビーを形作る方針や思想を紐解きながら、少ない知識でもラグビーのプレーの多くを理解してもらえるコンテンツを提供したいと思います。
このコンテンツを見た皆さんがラグビーの様々なプレーについて理解を少しでも深め、「ふむふむ」と分かってもらえるような、そんな説明を目指します。
目次
その1 ラグビーのプレー、究極の目的
その2 ラグビー超シンプルな基本ルール
その3 ラグビーを代表するプレー
その4 ラグビーのルール《スコア》
その5 ラグビーのルール《プレー時間》
その6 ラグビーのルール《グラウンド》
その7 ラグビーのルール《アドバンテージ》
その8 レフリーのしぐさ
その9 TMO(ティーエムオー)
その10 HIA/脳しんとう対策
その11 ラグビーのルール《タッチ》
その12 代表資格
その13 BIG PLAY
その1
ラグビーのプレー、究極の目的
ボールを相手陣に進めて点を取るスポーツである!
ボールを持たないとトライはできないし、ボールを持っていればトライはされない。 |
ラグビーのスコアと言えば、トライ。 トライは、相手のゴールラインより奥(インゴールと呼ぶ)にボールを置く事。 なので、相手エリアに進まなければトライはできない。 |
ラグビーのスコアはトライ以外に、ボールを蹴ってラグビーポールの間の上
を通す「ゴール」があるよ。
ゴールにも3種類あって、トライの後に狙える「コンバージョンゴール」(
単にゴールとも言う)、相手のペナルティの時に狙える「ペナルティゴール
」、プレー中に狙える「ドロップゴール」(見る機会は多くなく珍しいよ)
があるんだ。
ゴールは、近くから蹴った方が成功確率は高いので、その点でも相手エリア
に前進しておく事が重要なんだよ。
その2
ラグビー超シンプルな基本ルール
基本ルール1:ボールの後方からプレーに参加しないといけない
試合開始のキックオフ、キッカーの後ろからプレーに参加! |
パスは後ろにしないと✖! |
味方が倒れたときに、助けに行くのは後ろから! |
ボールを蹴った時、キッカーよりも前にいた人はボールを取りに行ったら✖! |
ラグビーの起源は「フットボール」。だけど、起源としてプレーされていた
頃の「フットボール」はルールも地域によって違っていて今のサッカーのル
ールともかけ離れていたんだって。
だけど、ボールの奪い合いがあるのはどこの「フットボール」でも共通して
いて、奪い合うボールを境に自陣・敵陣とされて敵陣からプレーしてはいけ
ない事も、共通していたそうだよ。
その名残からかラグビーも基本的に、ボールの後ろ側(自陣)からプレーし
ないとダメで、ボールの前側はオフサイドポジションとなるよ。
基本ルール2:ボールを前に投げても、落としてもいけない
ボールを前(自陣側でなく敵陣側)に落とすと、相手ボールのスクラムになる。 |
ボールを前の方(自陣でなく敵陣側)に投げてパスしても、相手ボールのスクラムになる。 |
ボールを前(自陣でなく敵陣側)に蹴る事はOK。ただし、蹴られたボールを追いかけられるのは、ボールを蹴った選手の後ろ(自陣側)にいた選手だけ。 |
相手エリアに前進する為の一番シンプルな方法は、ボールを持って前に走る事 |
ボールを前にパスしたり、キックした選手より前にいた選手がボールを取ったりする事がダメなのは、ボールの前は敵陣でプレーをしてはいけないエリア(いわゆるオフサイドのエリア)なので。
ボールを前に落とす事も、ボールを前に動かす点でパスと同様と考えられるよ。
基本ルール3:立ってプレーに参加しなければいけない
タックルされて相手が離そうとするボールを奪うプレーを「ジャッカル」と言う。 ジャッカルされないように、ボールを離さないでいると「ノット・リリース・ザ・ボール」というペナルティ。(ボールを保持したままという意味で「ホールディング」と言う国もある。) ペナルティを取られないために、ボールを後方(自陣側)に置くプレーが一般的。 |
タックルした相手をそのまま離さないと「ノット・ロール・アウェイ」というペナルティ。タックルされた選手がボールを離せなくなってしまうから。
タックルした選手は、その場から離れて自陣側に立つまでプレーに参加できない。 |
ジャッカルしようとボールに手を伸ばしても、手や膝が地面についてしまっていると、自分の力で立ってないと見なされ「オフ・フィート」のペナルティ。 |
ラグビーの基本的な考え方として、「立ってプレー」しないといけないんだ。
タックルされたらボールを離さないといけないのも、タックルしたら相手を
離さないといけないのも、ボールを取りに行く時に寄りかかってはいけない
のも、全てこの考え方によるものだよ。
基本ルール4:ケガをしない・させないようにプレーしなければならない
タックルはラグビーの象徴的なプレーだけど、相手をケガさせるような危険
なプレーは禁止されているよ。
上の4つは危険で相手をケガさせてしまう確率が高いのでペナルティになる
し、ひどい場合はレフリーがイエローカード(10分間退場)やレッドカード
(退場)を出すよ
その3 ラグビーを代表するプレー
実際のプレーを見てみよう!
相手陣のゴールラインの奥(インゴール)の地面にボールを置くと、トライになって5点が入るよ。 ボールを置くのは一瞬でOKだけど、ボールと地面の間に腕や体の他の部位が挟まれていたらトライにはならないんだ。 トライの後は、キック(コンバージョンやコンバージョン・ゴール、もしくは単にゴールとも言う)を蹴る事が出来て、そのキックが入ると2点だよ。 トライ後のキックは、トライをした位置から自陣に真っ直ぐ下がった場所から蹴る決まりになっているよ。 ブルーレヴズのトライの瞬間は、みんなで喜んで大きな拍手を送ってね。 |
ボールを持って走ってくる選手を捕まえて倒すプレー。前にパスできないラグビーではボールを持って進まないといけないから、それを止めるためにタックルをするよ。
相手は全力でぶつかってきたり、タックルをよけてきたりするけど、その中で自分も相手もケガをしないようにタックルを成功しないといけないよ。
タックルが失敗すると、相手チームにどんどん前進されてしまうけれど、逆に力強いタックルが決まるとボールを奪えるチャンスになるんだ。
激しいタックルが決まったら、選手に大きな拍手を送ってね。 |
フォワード(FW)と呼ばれる1チーム8人の選手が肩を組み・体を寄せて、相手の8人と押し合いをするプレー。押し合いながら、両チームの真ん中から入れられるボールを奪い合うんだ。
フォワードの8人、中でもスクラムの最前列にいる3人は、試合の勝ち負けだけでなくスクラムでの勝負にも強いこだわりを持っている選手が多いよ。
ブルーレヴズの試合では、スクラムになったら、手や体をたたいたり、足踏みしたりして大きな音を立てて、選手にエナジーを送ってね。 |
ボールがピッチの外(左右)に出た時に行う、サッカーではスローインに当たるプレー。だけどサッカーと違って、両チームの選手が2列に並んでその真ん中にまっすぐにボールを投げないといけないよ。 ボールを取る選手を他の選手が持ち上げる(リフトと言うよ)事ができるので、身長2m近い選手がリフトされて高い場所でボールを取るプレーは、実際にスタジアムで見ると圧巻だよ。 もうすぐ敵陣ゴールラインの距離でマイボールでのラインアウトはトライの大チャンスだから、ブルーレヴズの試合では大きな拍手で選手を後押ししてね。 |
複数の選手が一団となってボールを保持して前進しようとするプレー。モール開始時は一番先頭の選手がボールを持っていないとペナルティだけど、一度モールが形成されたらボールキープの為に一番最後の選手がボールを持つ事が一般的だよ。 ラインアウトでボールを取った後に、モールが形成される事が比較的多いんだ。ラインアウトからのモールはブルーレヴズの伝統的な得意プレーで、敵陣深くでのラインアウト⇒モールはトライの期待が高まるから、モールを組んだら大きな声援や拍手で力強く後押ししてね。。 |
ボールを持って走り、タックルしてきた相手を抜いて前に進む事を、ラインブレイクと言うよ。
ラインブレイクをして大きく前進する事ができたら、スタジアムには大きな歓声が巻き起こるよ。ブルーレヴズの選手が何度もラインブレイクをできるように祈っていてね。 |
その4 ラグビーのルール
《スコア》
ラグビーのスコア方法は5つあって方法によってスコア(点数)が異なるよ。
スコアは5点。略称は「T」。
相手陣のゴールラインの奥(インゴールと言う)にボールを置くと「トライ」だよ。
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スコアは2点。「コンバージョン・ゴール」や「ゴール」とも言うよ。略称は「G」や「CG」。 トライの位置から自陣に真っ直ぐ下がった位置から蹴る事ができて、どこまで下がるかはキッカーが決められるよ。蹴ったボールがゴールポスト(その形からHポールと言う)の内側・上側を通るとスコアになる。 |
スコアは3点。略称は「PG」。 相手がペナルティを犯した時に、その場所(もしくは自陣側に真っ直ぐ下がった場所)からキックを蹴る事ができて、コンバージョンと同様にボールがゴールポストの内側・上側を通るとスコアになるよ。 |
スコアは3点。略称は「DG」。
プレー中に、ドロップ・キック(ボールを地面に落とした(ドロップした)直後に蹴る事)したボールが、ゴールポストの内側・上側を通るとスコアになるよ。
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スコアは7点。略称は「PT」。 相手がペナルティを犯したのでトライにはならなかったけれど、そのペナルティが無ければトライになっていたとレフリーが判断すると「ペナルティ・トライ」となり、トライの5点、コンバージョンの2点の合計の7点が加算されるよ。 |
トライは昔は4点や3点の時もあったけれど、徐々にトライの価値が上がってきたんだ。
初期のラグビーではトライでは点数が入らず、次に説明する「コンバージョン」にトライする(挑戦する)権利を与えられるだけだったよ。なので、挑戦できると言う意味で「トライ」と言うんだ。
コンバージョンのキッカーはトライした選手である必要はなく、チームが決めていてるキッカーが蹴るよ。たまに、距離が短い時と長い時でキッカーを変えるチームもあるよ。
相手がペナルティを犯した時は、ペナルティ・ゴールを狙う事以外にも、グラウンドの外に蹴り出して陣地を稼ぐ事やスクラムを組む事なども選べるよ。位置が敵陣でピッチの真ん中に近い時は、成功しやすいからゴールを狙う事が多くなるよ。コンバージョンと同じく、チームが予め決めているキッカーが蹴る事になるよ。
ペナルティ・トライは、以前はトライ分の5点だけ加算されてコンバージョンは蹴られていたよ。ルール改正でコンバージョンを蹴らずに一気に7点が入るようになったよ。
その5 ラグビーのルール
《プレー時間》
ラグビーワールドカップや各国代表同士の試合、リーグワンも含め各国のトップレベルの試合では、40分の前後半となるよ。(日本では大学ラグビーも40分、高校生は30分)ハーフタイムの時間は予め決められていて、リーグワンでは12分だよ。 |
トップレベルの試合では、タイムキーパー制が取られていて、選手のケガが発生した時など、プレーが止まる時は時間も止まるよ。
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タイムキーパー制の試合では前後半共に、時間が40分になるとホーン(もしくは何らかの合図)が鳴り、その後にプレーが切れたタイミングで終了となるよ。(ただし、ペナルティでプレーが切れた場合は除く) |
その6 ラグビーのルール
《グラウンド》
ラグビーのグラウンド(フィールド、ピッチ)には
いろんな線が引かれていて、それぞれ意味があるけれど、
ここでは特に知っておくべき線(ライン)とエリアについて説明するよ。
タッチラインからボールが外に出ると、ラインアウトでプレーが再開するよ。通常はボールを出したチームの相手チームのボールのラインアウトになるけれど、ペナルティ・キックでボールを外に出すと、ボールを蹴ったチームのラインアウトになるよ。 |
ゴールポストが置かれているラインを「ゴールライン」と呼び、その先のエリアを「インゴール」と呼ぶよ。インゴールに攻撃側のチームがボールを置くと、トライになるよ。逆に守備側のチームがボールを置く場合は、2パターンに別れるよ。 |
ゴールラインの奥にひかれていて、「デッドボールライン」と「タッチインゴール」と「ゴールライン」に囲まれているエリアが「インゴール」になるよ。 |
ゴールラインの22m手前にひかれる実戦のライン。このラインの内側(ゴールライン寄り)のエリアでのプレーは、トライの可能性も高くなるから目を離さないで観ていてね。 |
このラインの外側(相手陣側、前側)で蹴ったボールが、直接(バウンドせずダイレクトに)タッチラインを超えると、ボールを蹴った位置に下がって相手ボールのラインアウトとなるよ。(ただし、ペナルティ・キックの時は例外) |
自陣(真ん中のライン(ハーフウェイライン)よりも後側)から蹴ったボールが、バウンドしてから相手22mラインの奥でタッチラインを超えると、ボールを蹴ったチームのラインアウトでプレー再開となるよ。
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相手が蹴ってきたボールを、22mラインよりゴールライン寄りで「マーク」と叫びながらボールを取ると、一度プレーが止まりボールを取った選手のキックでプレー再開となるよ。 |
その7 ラグビーのルール
《アドバンテージ》
一方のチーム(青チーム)がボールを前に落としたり(ノックオンと言うよ)ペナルティを犯したりした後、もう一方(しましまチーム)が有利な状況である場合、レフリーはプレーを継続させるんだ。 |
ノックオンやペナルティをしたチームの相手チーム(しましまチーム)が、ボールを失ったり後退すると、アドバンテージの適用は終了し(レフリーは「ノー・アドバンテージ」と言う)、
ノックオンであればしましまチームのスクラム、ペナルティであればしましまチームのペナルティ・キックとなるよ。 |
ノックオンやペナルティをしたチームの相手チーム(しましまチーム)が、ボールを保持し前進しながらプレーを継続すると、レフリーが「アドバンテージ・オーバー」と言ってアドバンテージが解消され、スクラムやペナルティに戻る事は無くなるよ。 |
アドバンテージが適用されると、ボールを持っているチームはたとえボールを失っても自分たちのボールでプレー再開できるので、キックでのパスや、ドロップ・ゴールなどリスクがあるイチかバチかのプレーをする事もできるよ。 |
<ノックオン時のアドバンテージ解消>
・青チームがノックオンをした時、しましまチームがボールを保持し前進できると、比較的早いタイミングでレフリーはアドバンテージを解消するよ。
・青チームがノックオンすると本来はしましまチームのスクラムになるので、しましまチームがその場からボールを持って前進しながらプレーを継続できると、すぐにアドバンテージが解消するんだ。
<ペナルティ時のアドバンテージ解消>
・ペナルティのアドバンテージは、ノックオンと違って、スコアしない限り解消されることはあまりないよ。
・青チームがペナルティをすると本来はしましまチームがペナルティ・キックで大きく陣地を稼いだり、ペナルティ・ゴールを狙えたりするので、それらと同等のプレーが発生しない限りアドバンテージが解消される事はないんだ。
その8 レフリーのしぐさ
ここでは、レフリーの様々なしぐさの内、
ラグビーを観戦する上で知っておきたい特に大切なしぐさを紹介するよ
レフリーが長い笛を吹きながら、腕を真上に挙げるのがトライだよ。 |
プレースキック(コンバージョンゴールおよびペナルティゴール)の時、ゴール裏のアシスタントレフリーがフラッグを振り上げるとゴール成功だよ。 |
プレー中にペナルティがあった時は、レフリーは笛を吹きながらペナルティ・キックが与えられるチームの方に腕を高く挙げるよ。 |
プレー中にアドバンテージが適用された時は、レフリーはアドバンテージが与えられているチーム側に腕を真横に挙げるよ。 |
ノックオンやフォワード・パス等でスクラムとなる時、レフリーは短い笛を吹いてマイ・ボールとなるチーム側に腕を真横に挙げるよ。 |
ボールがタッチラインの外に出た時は、アシスタントレフリーは片手でフラッグを振り上げて、もう一方の腕をラインアウトでマイ・ボールとなるチーム側に真横に挙げるんだ。 |
色々な理由でフリーキックとなった時は、レフリーはフリーキックを与えられたチームの方に肘を曲げて腕を挙げるよ。 |
ラグビーのレフリーのしぐさの特徴として、その後にボールを保持するチームの方に腕を挙げるんだ。サッカーやバスケットボールだと、その後の攻撃方向に腕を挙げるので、この点は覚えておくと良いと思うよ。
スタジアムで試合を見ていると、ボールの近くで何が起きているか分かりづらい事もあるけれど、レフリーのしぐさを見ていると何が起きたかが大体分かるよ。
その9 TMO(ティーエムオー)
リーグワンの試合やラグビーワールドカップでも
運用されているビデオ判定「TMO」について説明するよ。
「TMO」はTelevision Match Officialの略。ビデオ判定システムの名称でもあり、ビデオ判定を担当する審判員の呼称でもあるよ。
TMOの運用は2001年から始まっていて、もう20年以上行われているんだ。
サッカーも2016年から「VAR」(※Video As-sistant Refree)が運用されているけれど、サッカーの運用開始時はラグビーでの運用が参考にされていたよ。 |
TMOは以下の場面の判定時に利用されているよ。(2023年5月現在) |
フィールド上で判定が確認できない場合、レフリーがTMOの適用を宣言するよ。レフリーが両手でテレビのスクリーンを表すように四角形を描いたら、それはTMO適用のしぐさだよ。 |
レフリーがフィールド上で判定をしても、TMO担当審判員が映像を確認してからTMOが適用される場合があるよ。
その場合、一度下された判定が覆ってしまったり、覆らなくても間延びしてしまったり、観てる側からするとモヤモヤするかもしれないね。
プロスポーツはエンターテイメントでもあるから、判定の正しさと観てる楽しさが両立するよう運用ルールがより洗練されると嬉しいね。
その10 HIA/脳しんとう対策
コンタクトスポーツであるラグビーでは、頭部への衝撃により脳しんとうが発生してしまう時がある。
なので、「HIA」(※Head Injury Assessment。直訳は、頭部負傷評価、の意)という規定により、安全対策が年々強化されているよ。
頭部への衝撃による脳しんとうは、頭痛や嘔吐、意識障害を引き起こすけれど、適切な処置がされなかったり、脳しんとうが繰り返し起きてしまったりすると、さらに
重い後遺症につながる可能性があるんだ。 |
試合中、頭部に強い衝撃が加わった選手には、脳しんとうの状況の評価(HIA)を必ず実施しないといけないよ。 |
リーグワンやラグビーワールドカップでは、HIA対象確認用に映像ツールが使用されているよ。選手の頭部に強い衝撃が加わった可能性があるプレーを、ドクターが的確に確認できるようになっているんだ。 |
その11 ラグビーのルール《タッチ》
ボールやボールを持った選手がタッチラインやタッチラインの外の地面に触れると「タッチ」と判定されるよ。タッチラインに触れた場所や越えた場所でラインアウトとなり、ボールを保持していなかったチームがボールを投げ入れるんだ。
ただし、いくつか例外があるので、説明するね。
ペナルティで与えられたキックをタッチに蹴り出すと、蹴りだしたチームのボールでラインアウトとなるよ。 |
自陣の22mラインから相手陣側(外側)に前進した後のキックが、直接(バウンドせずダイレクトに)タッチラインを越えると、ボールを蹴った位置で相手ボールのラインアウトとなるよ。(ただし、ペナルティ・キックの時は例外)
|
通常はラインアウトでプレー再開となるけれど、ボールが出た後すぐにボールをグラウンド内に投げ込んでプレー再開する事もできるよ。ボールがスタンドに入ったり、出場中の選手以外の人に当たるとクイックスローは許可されないよ。 |
「タッチ」の後に、どちらがボールを保持しているか、どの位置からボールを投げ入れられるか、はプレー全体に大きな影響を与え試合の流れを決める事もあるよ。
どちらのボール、どの位置でラインアウトになるかは、アシスタントレフリーのしぐさをみると良く分かるよ。(参考:「その8 レフリーのしぐさ ⑥」)
※「その6 ラグビーのルール《グラウンド》 ④-(b) 50:22」もタッチにおける例外なので、チェックしてね。
その12 代表資格
現在は広く知られ始めているけれど、
ラグビーでは国籍を有していなくても各国の代表選手になれるんだ。
その点について説明するよ。
自分が生まれた国の代表選手になる事ができるよ。 |
自分でなくても、親や祖父母が生まれた国であれば代表選手になる事ができるよ。 |
プレー直前に連続して5年間、もしくは合計10年間その国に居住していると、代表選手になれるよ。 |
以前は、一度ある国(A国)の代表選手になると他国での代表選手としてプレーはできない時があったんだ。でも、現在は別の国(B国)で①~③のどれかに該当してA国代表
としてのプレーから3年以上経過すると、B国の代表選手としてプレーできるよ。 |
リーグワンでは、①②③に該当して日本代表資格を持つ外国籍選手も、外国人枠から外れてプレーする事が可能なんだ。
また、フランスで行われるラグビーワールドカップ2023では④のルールが適用されて、元々ニュージーランド代表やオーストラリア代表だった選手が、
トンガ代表やサモア代表としてプレーしたりするよ。
その13 BIG PLAY
ラグビーで一番盛り上がるのはトライやスコアの場面だけど、
他にもあるファインプレー、盛り上がるプレー、
流れを変えるプレー、拍手を送りたいプレー、
「BIG PLAY」を紹介するよ。
スクラムで相手チームを押す事ができると、押されたチームはスクラムを崩したりペナルティを犯してしまう。
ペナルティを得ると、キックで陣地を挽回したり、ゴールを狙ったり、ラインアウトからトライを狙ったりもできる。
なので、スクラムに勝つ事はとても価値ある事なんだ。 |
「ジャッカル」とは、タックルして相手が離そうとするボールを奪う事。
タイミングや技術、体の強さ、そして勇気が求められ、ディフェンスにおいて最も価値あるプレーの一つだよ。 |
高く蹴られたボール(ハイボール)を空中にジャンプしながら相手と競り合い、そしてキャッチする。
接触を恐れない勇気、タイミングよく高く飛ぶジャンプ、そして回転する楕円球をキャッチするスキルが求められる、フルバックやウイングの選手の見せ場だよ。 |
ラインアウトの後やタックル後に起こるモール。
相手ボールのモールのディフェンス時、相手を押し倒したりボールに絡んだりして相手がボールを外に出せないと、「モール停止」となりディフェンス側のスクラムで再開となるよ。 |
ボールを持った選手がディフェンスラインを破って大きく前進するアタック時の「BIG PLAY」。 |
そうは言ってもラインブレイクは簡単にはできない。
難しいラインブレイクのきっかけとなるプレーの一つがオフロード(パス)。
タックルされながら、不安定な状況でパスをしてボールをつなげるプレーだよ。
ディフェンスを食い付かせてからのパスになるから、パスを受けた選手はフリーになってラインブレイクできるチャンスが広がるんだ。 |
スコアシーンだけでなく、ボールを持ってのラン、タックルなど一つ一つのプレーにも十分に面白さが詰まっているラグビー。
中でも、皆に注目して欲しいプレーを紹介したよ。
なんで選手が盛り上がっているのか良く分からない場面、たまにあったよね。
これを見ておけば、これからはきっと選手と一緒にBIG PLAYの興奮を分かち合えるはずだよ。