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【マッチレポート】NTT JAPAN RUGBY LEAGUE ONE 2022 第13節
【マッチレポート】NTT JAPAN RUGBY LEAGUE ONE 2022 第13節
4月17日(日)、リーグワン第13節。静岡ブルーレヴズは、今シーズン初めて、日本ラグビーの聖地・秩父宮ラグビー場に足を踏み入れた。相手は強敵・東京サントリーサンゴリアス(以下、東京SG)。現在リーグワン首位に立つトップチームだ。1試合平均トライ数も得点もリーグ全12チームのトップ。
ディフェンスへのこだわりを柱に今季、チームづくりを進めてきたブルーレヴズにとっては、挑むべき相手であり、超えなければならない壁だ。
それだけではない。ブルーレヴズが最後に東京SGと対戦したのは2018年度シーズン。決勝進出をかけた順位決定トーナメント2回戦で延長戦の末に悔しい負けを喫した相手だ。
ブルーレヴズは、前節からスターティングメンバー3人を変更した。SHには、37歳のベテラン、プレイングコーチの 矢富 勇毅 選手が入り、CTB 13には 鹿尾 貫太 選手が2試合ぶりに復帰。そしてFLには4月に加入したばかりのルーキー、ジョーンズ リチャード 剛 選手が入った。伏見工から東海大に進んで1年のシーズンから活躍し、4年のシーズンは主将も務めたジョーンズ選手の武器はひたむきなタックル。堀川 隆延 監督はメンバー発表に際し、ジョーンズ選手について「相手がどれだけ大きくても一発で倒せるタックルのスピード、パワーが素晴らしい」と抜擢の理由を明かした。さらに、FW第3列にはもうひとりのFL 庄司 拓馬 選手、NO8のクワッガ・スミス選手と、フィジカルの強さを活かしたボールキャリーよりもタックル、ブレークダウンの幅広い働きを武器とするオープンサイド・フランカー型の選手3人を並べる大胆な布陣。堀川監督は「彼らのディフェンス力、特にボールを奪い取る能力で主導権を握っていきたい」と意図を明かした。
リーグワン最強の得点力を誇る相手に、ここ3試合機能しているディフェンスで堂々と勝負しよう――そんな気迫が伝わってくるラインアップだ。
先に試合の主導権を握ったのは東京SGだった。3分、ブルーレヴズの密集での反則から、東京SGはリーグワンの得点王を走る現役オールブラックスのダミアン・マッケンジーが先制PGを決める。ブルーレヴズは直後のキックオフから相手キックをWTB キーガン・ファリア 選手がチャージ。弾んだボールを確保すると、そのままトライを狙ってボールを動かすが、相手にインターセプトされ、そこからの逆襲でトライを献上してしまう。キックオフから5分強で、あっという間に0-10。
しかし、生命線のディフェンスを崩されたわけではない。相手にインターセプトから独走されたときも、WTB ファリア選手が猛然と戻り、簡単にはトライをさせなかった。リーグ最強の得点力を誇る東京SGを相手に、1点でも防ごうという気迫。それは流れをブルーレヴズに呼び込む。相手のタッチキックにNO8 スミス選手が猛然とプレッシャーをかける。11分、相手陣でPKを得るとゴールは狙わず、右ゴール前のラインアウトに持ち込む。ブルーレヴズFWの見せ場が来た。HO 日野 剛志 選手の正確なスローイング。6番 庄司選手と5番 桑野 詠真 選手の完璧なリフトとLO 大戸 裕矢 キャプテンの巧みなキャッチングでボールを確保するとモールを一気に押しこみ、NO8 スミス選手がトライを決める。5-10。
直後、東京SGにトライを奪われ5-15とされるが、ブルーレヴズの闘志は衰えない。東京SGがボールを自慢のアタックを仕掛けても、オープンサイドフランカーを3人並べたバックロー陣が次々とタックル。ボールを奪えば、HO 日野選手、CTB ヴィリアミ・タヒトゥア 選手らが激しく体をぶつけて敵陣に攻め込む。17分にはハーフウェー付近のスクラムをグイグイ押し込んでペナルティーを獲得。21分にはブレイクダウンで得たPKから左ゴール前のラインアウトに持ち込み、フェイズアタックからNO8 スミス選手が左中間へ。これはグラウンディングしようとしたボールに対する相手選手の反則でペナルティートライ。12-15。
さらに相手選手にイエローカードが出され、数的優位を得たブルーレヴズは、31分には相手ゴール前5mスクラムを一気に押し込んでNO8 スミス選手がトライ。FB 奥村 翔 選手のゴールも決まり、19-15と逆転。こうなると勢いは止まらない。35分には相手キックを自陣ゴール前に蹴り込まれながら、FB 奥村選手がギリギリで戻ってカウンターアタック。さらにSH 矢富選手がビッグゲイン、CTB タヒトゥア選手のキックパスを捕ったファリア選手が相手ゴール前へ。ここは相手ディフェンスの素早い戻りに押さえられるが、直後のラインアウトからブルーレヴズは再びフェイズを重ね、37分、FL 庄司選手がついに相手ディフェンスの壁を突き抜け、インゴールにボールを押さえた。24-15。ブルーレヴズはリードを9点差に広げた。
前半残り2分にブルーレヴズ陣に攻め込んだ東京SGにPGを許し、24-18の6点リードで前半を折り返した。
このままの勢いを継続したいブルーレヴズだったが、後半のスタートからベンチメンバーを次々と投入しテンポアップをした東京SGに、後半開始早々にトライとコンバージョンを許し24-25と逆転される。47分には、ブルーレヴズが自陣のピンチでNO8 スミス選手が相手ボールをターンオーバーしながら、次のキックが直接相手WTB の手に入ってしまい、そのままトライを献上。リーグ最強の攻撃力を誇る相手に、ひたむきなタックルの繰り返しで対抗していたブルーレヴズだが、前半40分の戦いは予想以上に体力を削っていたのかもしれない。
61分、久々で相手陣に攻め込んだブルーレヴズはFB 奥村選手がPGを返し、27-32の5点差に追い上げるが、64分、66分と連続トライを許して27-46。それでも青いジャージは諦めることなく反撃した。
70分には左ラインアウトをLO 大戸キャプテンが捕り、モールを押した。73分にはCTB タヒトゥア選手、途中出場のWTB 矢富 洋則 選手の突破で相手ゴール前に攻め込んでPKを得たが、速攻は実らず、逆にボールを奪い返された。76分には相手陣で得たラインアウトでボールを奪われ、得点を返せないまま時間が過ぎる中、77分にも東京SGにトライ、80分にはPGを許した。
最終スコアは27-56。後半、自分たちのスタイルを遂行できず悔しい敗戦となった。
厳しい結果だが、落ち込んでいる暇はない。課題には向き合い、しっかり修正することはもちろん、自分たちの強みで、自分たちのスタイルで圧倒できたこと、スコアに繋げたことには自信をもって、前進していきたい。
リーグワン2022は残り3節。ブルーレヴズの戦いは4月23日(土)、エコパスタジアムでのトヨタヴェルブリッツ戦、5月1日(日)、大阪・ヨドコウ桜スタジアムでのNTTドコモレッドハリケーンズ大阪戦、そして最終節5月8日(日)、ヤマハスタジアムでの東芝ブレイブルーパス東京戦と続く。
順位をひとつでも上げるために、ブルーレヴズというチームの価値を高めるために、そしてレヴニスタのみなさんと喜びを分かち合うために――。
ブルーレヴズはまた、次の試合に向けた準備に、ハードワークを続ける。